横浜から乗った電車の車内で、
孝史は相変わらず鳶人を隣に座らせて、
窓から見えるいろいろな景色に一緒になってはしゃいでいる。
父はそんな二人を見て嬉しそうな顔をしている。
が、かおるはいきなり、
駅の構内で見た火事の事が浮かんで来た。
まさか…
父の友人がなんと言う所から借金をしたのかは知らないが、
まさかそこでは…
そしてその火事は自分が頼んだから実鳶が…
いや、そんな事は無い。
しかし暗殺はしないが火で焼け殺そうとしたのでは…
昔も矢の先に火をつけて焼き打ちにする方法はあったはずだ。
どうしよう…
あの実鳶が刀での暗殺はしなくても、
焼き打ちを思いついて実行したのかも知れない。
あの人たちの思考回路は、
今とはかなり異なっているかも知れない。
かおるは昼ごろから不愉快な視線を感じ、
その事で神経を使っていたのか、
火事のニュースを考えるだけで実鳶の存在まで思い出している。
「かおる、疲れたのか。」
何も知らない父は、
隣で座っているかおるの様子に声を掛けて来た。
向かいの席で座っている孝史と鳶人。
見かけは7歳の年齢差があり、
体もそれなりに差があるが、
一緒に屈託無く笑い合っている姿を見れば、
ちょっと目を離せば一体化しそうなほど仲が良い。

