「何があった。
アレから私は京を見ていたから君たちの事は分からない。
何でも話してくれ。」
いつまでも無言のまま見つめているかおると孝史に、
実鳶が真剣な声で尋ねてきた。
二人がここにいると言う事は何か困った事が起きたから来たと言う事、
簡単に推測できる。
それでかおるは父を案じている自分の気持ちを話した。
取り越し苦労かも知れないが心配だった。
父に何かがあれば、自分たちの生活が成り立たなくなる。
たとえ父に記憶が無くても、
新しい家族としてやっていけそうな時、
父に災いが及んでは困る。
父が被った借金がどうなっているのか、
貸した人が父をどうしようと思っているのか、
まず、とにかくどんな状況か知りたかった。
それでもし本当に実鳶に力が有るのなら、
父の立場を正常にして欲しかった。
父は友人の保証人になって借金を被るようになってしまったが、
悪いのはその友人で父ではない。
父はただの被害者だ、と言う事を分かって欲しかった。
不思議な事に、それまでかおるの手を掴んでいた孝史が眠っている。
こんな状況で眠るとはおかしな事だが…
一瞬、そんな事を感じたかおるだが、
あえて何も無いように実鳶に話している。
「分かった。それで君はどうして欲しいのだ。
その借金取りを暗殺して欲しいのか。
そんな事は造作もない事だ。」
実朝は甥の公暁に暗殺されている。
簡単に暗殺などと言う言葉を出すと言う事は、
紛れも無く、現代にいるこの人も実朝の子孫と言えるだろう。
かおるはそんな事を考えて慌てた。

