短い髪をくしゃくしゃしながら、 照れ臭そうに、 湊太くんは席に戻っていった。 また拍手が起こって、 私は大きな花束を床に置いて、 また ピアノに向かって座った。 立っていた観客達も座ったところで、 私はゆっくり ゆっくり 弾き始めた。 リスト 【愛の夢 第3番】 どのコンサートでもショパン以外弾いていなかった。 だから、弾いた瞬間、 「おおお〜〜〜!!!」 と客席がわいた。 初めて湊太くんに弾いたこの曲。 最高のラストを………