「んな顔しても、全然恐くないし。」 そう言って潤は、私の頬をつねる。 「いひゃいひゃん。」 「ぷッ、んじゃオレ先行くわ。」 「えッ??一緒に行かないの??」 「今はちょっと、な。」 潤が手を振りながら行ってしまう。 『行かないで、行かないでよ。』 『ねぇ、何で私の声は届かないの??』 私はまだ、自分の胸の中に芽生えた気持ちには気付かなかった。 ただ、潤の後ろ姿を見ながら立ち尽くしていた。