「あのさ、ちょっと、何ボーっとしてんの。」  
 
その声に自分は敏感に反応した。 
別に恐れていたわけではないけれど 
そう。ただなんとなくだ。 
 
隣に居たのは同じクラスの 
 
あのさっぱりした 
 
かっこいい女の子だった。 
 
「ごめんね。なんか、考え事してた。」 
 
そういうしかない。 
 
ちょっとした妄想を… 
 
なんて まさか言えない。  
 
「ふ~ん。」 
 
彼女はいくらか疑問に思った様だったが、 
怪しんでるふうでは無かった。 
 


「ねっ、ちょっとついてきてくんない?」 

真っ白い頬に悪戯っぽい笑みが浮かんでは消えた。 
 
「え…。な、なんで?」
 
自分は何か悪い事でもしてしまったんだろうか‥? 
 
あぁ。やっぱりあの考え事という 
 
言い訳がいけなかったんだろうか。 
 
それとも、なんだろう 自己紹介のこととか?? 
 


でも、あんなにさっぱりした女の子が 
 
そんなことを気にするわけがないか…。 

そんな細かい事気にしなさそうだし。

でも、とすると…

…じゃあ、何なんだぁ!? あの笑い方。ちょっと…

いや、かなり意味深だったし。
 
ますますワケが分からなくなっていった。 
 
まるで、解こうとする糸がどんどん絡まっていくように…。 


 
 
でもその時は 
 
気づいていなかった。 
 
その後、大切な人に出逢うことになるとは…。