嘉は、一つの教室の前で立ち止まった。



ガラガラガラ…



「はい。入ってね。」


嘉は笑顔だけど有無を言わせない迫力を出しながら言った。



私が素直にその教室に入ると、嘉も入ってドアを閉めた。




閉めたりしなくても逃げないんだけど。


そう思ったけど、何も言わなかった。





「ここは?」


私は嘉にここは何の教室なのかを尋ねた。


見たところ、普通の教室。


なのに使っている様子はない。




「ああここはね、俺のサボり場所の一つ。

みんな知ってるから誰も近づかないんだ。」



ふーん。

私は自分で聞いたのに何も言わなかった。





「で、話って何?」


唐突に、私が言った。

嘉が自分から言い出しそうじゃなかったから。



すると嘉はまた偽物の笑顔を張り付けて口を開いた。