「侑希………」


耳よりも少し高いところから聞き慣れてしまった名前を呼ぶ声が聞こえる。



だけどそれはいつもよりも振り絞るような声で。


「どうしたの…?」


私は小さい子供をあやすように尋ねる。




「…消えないでくれ――――



頼むから……――――」






その声のほうが今にも消えそうで…

私はこれに溺れてしまうんじゃないかと怖かった。