「他に、聞きたいことは?」

「侑希はここに来る前、どこに住んでたんだ?」



「ずっと、遠いところ。」


私は、曖昧に返す。

だって、言えないわ……



「詳しくは…言わないんだな。」

「そうね。」



「もう、聞きたいことはいい。」



え?

もういいの?



私がキョトンとしていれば


「侑希は自分のことは言わないつもりだろ?」



私はそれに曖昧に微笑むことしかできない。

その通りだもの…



「俺もあんまり自分のことで話せることはねぇからな…

今回は、あんま聞かねぇよ。」



フッと笑った蓮士。

そこにはもうマスターを思い浮かばせる目はない。



ほっとした反面、切なかった。