シーン−−−………


私が教室に入ると、さっきの騒がしさが嘘のように静かになった。




「じゃあ栗栖さん。自己紹介をお願いします。」


「栗栖侑希‐クリスユキ‐です。」




−−−シーン−−



「あら?みなさん、どうしたの?さっきまでは話をしていたのに。そうだ、栗栖さんに何か質問とかないの?」




質問………


私は出来る限り人とは関わりたくないのに。


質問なんて、そんなもの必要ないのに…。



どうせ嘘で塗り固められた今の“私”に答えられることなんて、ない。





だけどそんなことが言えるわけもなく、私はただ無表情で教卓の横に立っていた。




「……っはい!彼氏とかいるんですかっ?」

「……いない。」




たくさんの刺さるような視線を受けて、しかたなく私は答えた。



「「「「ぅおおお!!!」」」」



いないと言った瞬間、教卓は耳を塞ぎたくなるくらいの盛り上がりを見せた。