「さ、弘夜は離せよ?俺らに喧嘩売るっていうならまぁ話しは別だけど?」



私の隣にいたはずの楓もスッと前に出て言葉を発する。


「………。」



今みんなが睨んでいるのは、ソファの真ん中に座った金色の男。

その男はクイッと顎を動かし、弘夜はたたたっとこちらに走ってきた。



そしてその目に私を捕らえる。



「…っ!侑希さんっ…!」


驚いたのか、すでに涙を溜めた表情をもっと崩す。


「申し訳ないっス…侑希さんまで来ることになっちまって……」


力無く眉を寄せ、下を向く弘夜。



私はそんな弘夜を見ながら言った。


「おかえりなさい、弘夜。」



下を向いた弘夜の表情は見えないけれど、透明な雫が一粒、床に落ちた。