先頭を歩いていた蓮士は、この場所を知っていたのだろうか。
そう思うほど、何の迷いもなく歩いていた。
『音楽室』
そう書かれた教室の前で私たちは止まった。
中からは若干だが声も聞こえる。
「嘉、」
「ここだと思う。『音楽室』…ね。」
嘉の顔は見てないけど、声は無機質だ。
そんなことを思いながら、ボーッとしていた。
でもそれは……
ガッシャー―ン!!
大きな音に遮られ、私は意識を音のほうに向けた。
「なんだあ!?」
中からドタドタと人が歩く音が聞こえる。
さっきの音は、李玖がドアを蹴っ飛ばした音だ。
李玖が、
「おいてめぇらぁ!!
弘夜を出せ!!!!」
そう叫んで、ズカズカと部屋に入っていく。
私たちも続いて入った。
私は相手から見えにくい、蓮士と結都の後ろに立たされる。



