私はすたすたと歩く蓮士のすぐ後ろを歩いた。
いつのまにか、周りは静かになっている。
誰も騒いでいない。
それに校舎の入口までは、人がどいて道が出来ていた。
歩いていくうちに、蓮士の目のせいでざわついていた脳がスーッ冷静さを取り戻していった。
目の前にある銀色。
それが私を落ち着けたのかもしれない。
…落ち着いたことで、感覚が研ぎ澄まされる。
痛いくらいのいくつもの視線を感じ、同じように声も聞こえる。
冷たい視線…
興味の視線…
そして憧憬の視線…
本当に、様々だ。
「桜華だ…」
「やべぇな…あれが冷龍だろ?」
「あの女は?」
「桜華にも姫がいるのか?」
「あれが桜華の……」
「美しい銀髪ね。」
「あの女はなんなの?」
「綺麗な人…」
「長い髪ね……」
男も女も関係ない。
声は様々だけど、私たちに投げられる言葉はさほど意味が変わらない。
それは校舎に入って、最上階に来るまで続いた。



