私はどこへ行くのか、何をするつもりなのか、鳳狼とは何なのかを車の助手席に座る嘉に尋ねた。
運転している人は多分、前にもやっていた人だ。
「今から行くのは鳳狼乗るメンバーがたくさんいる学校。そこに弘夜がいるらしいからね。
まあ喧嘩はしないつもりだよ。もし弘夜がボコボコだったりしたら話は別だけど…
で、鳳狼っていうのは簡単に言うとNo.2の暴走族。
No.2って言っても俺達とやりあった訳じゃないから正確じゃないけどね。」
私の質問に的確に答えを返し、言いながら笑っている嘉を見て、私に似ていると思った。
…めんどうなことは嫌いだけど、喧嘩することは嫌いじゃない。
それは私にとっての仕事と同じ感覚なのかもしれない。
「まあ弘夜は無事だろうから、迎えに行くようなものだよ。
侑希ちゃんは気にしないで。」
言葉は優しいのに、それとは逆に酷く冷たい目をしている嘉……
さっきの蓮士も同じ目をしていた。
それは普段からは考えられないもので。
コロコロとよく表情が変わる人達ね…
私はそんな風に思っていた。



