華〜ハナ〜Ⅰ【完結】




約5分後。

「あ〜やっと分かった。

さ、みんな行こうか。」




嘉がそう言うと全員が立ち上がり、それぞれにバイクのキーを持った。


そして嘉が蓮士に何かを耳打ちしている。

蓮士は「ああ」とだけ答えている。


話が終わると部屋を出ていった。




「侑希ちゃんは車だよ。俺と一緒に乗ろうね。」


嘉は笑っているけど、その目はいつもよりも冷たい。


「…ええ。」


だけど私は、そのほうがいい。

自分を忘れずにいられる。




そうして私は城の外に待機していた車に乗った。


前に乗ったのと違う車。

黒い車体は同じだけど、その上に桜の花びら…



とっても綺麗に桜の花びらが散っていた。




「早く乗ってね、侑希ちゃん。」

「………分かってるわ。」



私が車に乗ると車は動き出した。