「侑希、お披露目は大事なんだよ?
大々的に侑希を襲えなくなるし…
前はしなかったから……」
楓がそう言うと、私のそばから李玖が離れた。
「そうだ、侑希ちゃんはもうお昼ご飯食べた?」
「いいえ…まだ…」
「じゃあご飯にしよう。結都と柚を下から連れて来てくれる?」
私は分かったわ、と答え、部屋を出た。
李玖がソファに座り込んでしまったし、蓮士は寝てる。
嘉と楓はご飯を作るんだろう。
私はエレベーターに乗らず、あの大きな階段を下りる。
…エレベーターって嫌い。
一人で乗るのは抵抗がある…
だから私は宝塚の舞台のような、豪勢な階段をゆっくりと下りた。
「侑希さんっ!どうしたんスか?」
近くにいた人が、慌てて駆け寄ってくる。
オレンジの髪の、目がパッチリした人。
「ユズキと結都を呼びに来たんだけど…
いるかしら?」
「そうなんスか!探してきますね〜!」
そう言うと、バイクに跨がり一階を旋回するように走って行った。



