家に迎えがくるときはいつも、蓮士が来る。
私の家を知ってるのが蓮士だけだから仕方ないんだけど…
蓮士はいつもバイクで来るから困ることが一つある。
今日もソレはマンションの下にあった。
「お兄さん一人ですかぁ?」
「良かったらご一緒にランチでも…」
「バイクカッコイイですね!」
「…わ!お兄さん桜華の関係者?」
「きゃあああ!」
バイクに跨がったままの蓮士に群がる、たくさんの女たち。
私はいつもこの香水の混ざった臭いを嗅がされる。
…くっさ。
堪えられないわ…
私は息を止めて蓮士に近づいた。
すると女たちは驚いたように私を見て、後ずさる。
…自分に自信がないのなら、ここにいなければいいのに。
下唇を噛んだ女たちは蓮士と、その後ろに乗った私を黙って見送った。



