プルル…ピッ 〔……はい〕 あ………出た。 それは、何年かぶりに聞くエリカの声。 昔と変わらず優しい楓を落ち着かせる声。 楓は胸が熱くなる思いがした。 〔あの………〕 困った様なエリカの声。 それは心なしか震えているような気がして。 「エリカ………」 言いたいことはあるはずなのに、何も言葉が出てこなかった。 〔楓……?楓なの……?〕 「うん………」 〔ど…して………?〕 エリカは困惑しているようだった。 楓も、少し胸がざわついた。 …やっぱり、迷惑かな。