目の前の敵に集中し過ぎていた。 だから、嘉たちの後ろまで気が回らなかったんだ。 「はっはっは〜こっちだよ〜」 声がして、振り向く間もなく。 ガッ… 音がして、楓は焦って振り返った。 「……え?」 カランカラン… 嘉たち目掛けて振り下ろされた鉄パイプは、地面に転がっていて。 それを持っていたらしい男はうずくまっていた。 「……嘉?」 男の前に立つ、嘉。 ニッコリと笑っていて、この状況を怖がっている様子はない。