1時間ほどたっただろうか…

玄関に、靴を履いたまましゃがんでいたことに気が付いた。



「はぁ……」



私の意識とは関係なく、口から溜め息がこぼれる。




とりあえず…お風呂に入ろう。




私は浴室の扉を開け、服を脱ぎ始めた。







………汚い。

私は汚い。

傷一つない真っ白な私の肌。


これは本当に私の一部なのか。


いつも、そう思う。



だって、私はこんなにも汚いのに体には傷がないだけでなく真っ白に透き通っている。




“自分に傷を付けるな”




これは、任務を遂行する上で毎回言われ続けたこと。


私はその言葉を忠実に守ってきた。


そして、これからも。


人形は人形らしくしているべきだ。


たった一人の言葉に動揺していてはいけない。


マスターの言葉を忘れてはいけない。




私は素早く入浴を済ませ、さっさと上がった。