華〜ハナ〜Ⅰ【完結】




楓は耳を澄ました。

人事だと分かっていても、蓮には何か自分と近いものを感じていた。



「まったく…こんな時間に帰ってきて、リラが起きたらどうするんだい?
あんたが寝かしつけるかい?」



リラ?

なんだろう。



「ふん。もういい。

こっちに入るなよ。また明日取りに来い。」



そう女が言うと、ガシャンと音がした。


ギィと門を開けて蓮が出て来る。



「待たして悪ぃ…。

こっち来てくれ。」




さっさと歩いていく蓮を楓は慌てて追いかけた。