楓は耳を澄ました。 人事だと分かっていても、蓮には何か自分と近いものを感じていた。 「まったく…こんな時間に帰ってきて、リラが起きたらどうするんだい? あんたが寝かしつけるかい?」 リラ? なんだろう。 「ふん。もういい。 こっちに入るなよ。また明日取りに来い。」 そう女が言うと、ガシャンと音がした。 ギィと門を開けて蓮が出て来る。 「待たして悪ぃ…。 こっち来てくれ。」 さっさと歩いていく蓮を楓は慌てて追いかけた。