楓は俯いていた。 正面には蓮の気配を確かに感じる。 「ないってお前…ホームレスか。」 再び蓮の声がしたと思ったら、予想外の言葉だった。 その言葉に楓は頭を上げた。 「まあ、ここで会ったのも何かの縁だな。 俺が住んでるとこ、来るか?」 じわじわと、楓の目に涙が溜まる。 楓はうんうんと頷いた。 「泣くんじゃねぇよ。」 蓮はそう言いながら笑った。 綺麗な顔に似合う、自然な笑顔だった。