華〜ハナ〜Ⅰ【完結】




楓は俯いていた。


正面には蓮の気配を確かに感じる。






「ないってお前…ホームレスか。」



再び蓮の声がしたと思ったら、予想外の言葉だった。


その言葉に楓は頭を上げた。



「まあ、ここで会ったのも何かの縁だな。

俺が住んでるとこ、来るか?」




じわじわと、楓の目に涙が溜まる。


楓はうんうんと頷いた。



「泣くんじゃねぇよ。」


蓮はそう言いながら笑った。



綺麗な顔に似合う、自然な笑顔だった。