華〜ハナ〜Ⅰ【完結】




「ふーん。お前、ボロボロだな。

喧嘩したのか?」



人形のような容姿なのに、意外とよく喋る男。


でもそのほうが楓は何も考えずに済むので居心地がよかった。



「喧嘩なんかしてない。それに別に痛くないし。」



楓は言った。


これは、嘘ではなかった。


殴られた痛みなんて、堪えられる。




ただただ…

心が痛い。





「…何も感じない訳じゃねぇんだろ?」



静かに男が口を開いた。


「……?」



楓は何が言いたいのか分からなかった。