「はぁ…喧嘩ならもう今日はしねぇぞ」 その男はため息をついてベンチの方へ歩いてきた。 「…喧嘩?」 楓はやっとの思いで口を開いた。 「あ?喧嘩しに来たんじゃねぇのか?」 パチッと音がして、眩しい光が目に入った。 「ん?誰だてめぇ…。」 男がケータイを開いたらしい。 整った顔をした、恐ろしいくらい表情のない人形のような男だった。 「ここは俺の場所だ。 ここにくるやつは俺と喧嘩をしに来る。 お前はちげぇのか?」 楓はぶんぶんと首を振った。