華〜ハナ〜Ⅰ【完結】





「はぁ…喧嘩ならもう今日はしねぇぞ」



その男はため息をついてベンチの方へ歩いてきた。



「…喧嘩?」


楓はやっとの思いで口を開いた。



「あ?喧嘩しに来たんじゃねぇのか?」



パチッと音がして、眩しい光が目に入った。



「ん?誰だてめぇ…。」


男がケータイを開いたらしい。



整った顔をした、恐ろしいくらい表情のない人形のような男だった。




「ここは俺の場所だ。

ここにくるやつは俺と喧嘩をしに来る。

お前はちげぇのか?」



楓はぶんぶんと首を振った。