「ふっ…泣いとるわ。次はないでぇ…」 そう言い残して男は消えた。 楓は体中が痛むのを必死でこらえて、近くの公園に入った。 「はぁ……ぃった………」 公園のベンチに倒れ込むように座ると、改めて激痛が全身を駆け巡った。 「どんだけ殴ったんだよ…あの男…」 もう二度と会いたくない、と思った。 目をつぶって何も考えないように上を向いた。 口の中は鉄の味がいっぱいに広がっていて気持ち悪かった。