華〜ハナ〜Ⅰ【完結】




「ふっ…泣いとるわ。次はないでぇ…」



そう言い残して男は消えた。


楓は体中が痛むのを必死でこらえて、近くの公園に入った。




「はぁ……ぃった………」



公園のベンチに倒れ込むように座ると、改めて激痛が全身を駆け巡った。



「どんだけ殴ったんだよ…あの男…」


もう二度と会いたくない、と思った。




目をつぶって何も考えないように上を向いた。


口の中は鉄の味がいっぱいに広がっていて気持ち悪かった。