「はぁっ…はぁっ…」 楓は、足が動かなくなるまで走った。 とにかく、エリカから離れたかった。 「はぁっ………どこ…ここ…」 息切れがする上に、脳まで酸素がいき渡っていない。 楓がたどりついたのは人通りと多い繁華街だった。 「どこだよ、ここ……」 楓の回りにはキラキラと着飾った人がたくさんいる。 中でも楓の視界に映る女にはぎょっとした。 原形が分からないほど化粧をし、髪の毛は茶色く染められパサパサに傷んでいる。 目はギラギラしていて、楓が怖いと思った母と似たような目をしていた。