だが俺はそんなことより侑希という女の、あの目が忘れられなかった。


何も映さない、ただ真っ暗なだけのあの目。



初めてあんな目をした人間を見た。



この、暴走族という世界にいればいろんな目をした人間を見ることが多かった。




でも…………

そいつらでさえ、あんなに真っ暗な目はしていなかった。




それに、あいつを見た時無意識に呟いた言葉。


−−ハナ−−



なんなんだ?

ひどく懐かしく感じる。


誰かの名前…?


だとしたらなんであいつはあんなに動揺したんだ?




俺は、謎だらけの侑希という女に興味が沸いた。




「嘉…侑希という女について調べろ。」




嘉にそう言った。

こいつの腕をもって得られない情報なんてほとんどない。




すぐにあいつについてもわかるだろう。


そう思った。