「楓…どうして戻ってきたの? もう怖い思いはしたくないでしょ? さっさとどこかへ逃げなさいよ。」 楓はその言葉を聞いて驚いた。 姉は母親と同様、楓に恐怖を与える存在でしかなかった。 なのに今、その姉が自分に逃げろと言った。 その、自分を気にかける言葉に驚いたのだ。 そして、楓にはその理由はわからなかった。 二人の言葉が途切れ、無言の空間が続く中。 エリカが口を開いた。 「少し、話をしていただけませんか?」 楓の姉は困った表情をしたものの、ゆっくりと頷いた。