「ねぇ、楓?苗字、なんて言うの?」


カチカチと、パソコンを見ていたエリカが言った。



「ん?鈴堂だよ。どうかした?」



すっかりエリカに慣れて、楓は普通に話すようになっていた。




「ん〜……楓、捜索願がでてる。」

「は?」




エリカは重たく口を開いた。


楓には、母親から捜索願がだされていたのだ。



「どういうこと?」



楓は冷や汗を流しながらエリカに尋ねた。



「そのまんま。楓、あたしに話してくれる?家で何があったのか。これからどうしたいか。」



いつもは柔らかく話すエリカも、驚いたのかついつい強い口調になる。



楓はぽつぽつと話し出し、家を出たことを話した。