華〜ハナ〜Ⅰ【完結】




次に向かったのは洋服屋。



「うーん。どれくらい買ったらいいかな?
楓はいつか家に帰らなきゃいけないし…。」



そう言ったエリカの声は楓には聞こえていなかった。



昨日までとずいぶん変わった自分の姿に驚いていたから。








結局エリカは何着か楓の服を選び、その店を出た。


その後もいろんな服屋に行って、かなりたくさんの服を買った。



「楓、帰るときには持って帰って?」




エリカの言葉に楓の心はぎゅっと締め付けられた。



…またあの二人に殴られる。

…怖い怖い怖い




その思いが楓を支配した。




ふるふると震える楓。

その震えは繋いだ手を伝わってエリカにも分かった。




「大丈夫、楓。いつまででもあたしの家にいていいんだから。」




昨日、楓の体にあった傷を見て何かを悟ったエリカは、そう言って楓を落ち着けた。