次に向かったのは洋服屋。
「うーん。どれくらい買ったらいいかな?
楓はいつか家に帰らなきゃいけないし…。」
そう言ったエリカの声は楓には聞こえていなかった。
昨日までとずいぶん変わった自分の姿に驚いていたから。
結局エリカは何着か楓の服を選び、その店を出た。
その後もいろんな服屋に行って、かなりたくさんの服を買った。
「楓、帰るときには持って帰って?」
エリカの言葉に楓の心はぎゅっと締め付けられた。
…またあの二人に殴られる。
…怖い怖い怖い
その思いが楓を支配した。
ふるふると震える楓。
その震えは繋いだ手を伝わってエリカにも分かった。
「大丈夫、楓。いつまででもあたしの家にいていいんだから。」
昨日、楓の体にあった傷を見て何かを悟ったエリカは、そう言って楓を落ち着けた。



