楓は大きな鏡の前に置かれたイスに座らされた。
ブォォ…
ドライヤーで髪を乾かされるのを、楓は気持ちがいいと思った。
そんなことをされた記憶はなかったから。
「ね、名前なんて言うの?
あたしはね〜エリカって言うのよ。」
鏡越しに、エリカが話しかけた。
その目をジッとみる楓。
「……楓」
そして、初めて楓が口を開いた。
「楓か〜。いい名前だね、楓!!」
ニコニコしながら楓の髪を乾かしていくエリカ。
「楓って髪長いけど…女の子、じゃないよね?」
遠慮気味に聞くエリカ。
その言葉に楓は頷いた。
「じゃあ、明日お買い物行こうか。」
エリカはそれだけ言って、それ以上は何も聞かなかった。



