夢だったのか… あの声だけの夢。 夢というにも曖昧すぎるような夢。 なんだか、脳がよく働かない。 考えようとしても何かモヤがかかったように、考えられない。 私は回りの音すらも聞こえておらず 今日もグラウンドが騒がしいのに気づかなかった。 ぼーっと一点を見つめていた私の視界に、バッと誰かの顔が入ってきた。 「蓮士……」 囁くような声で言った私の体は、急にフワッと宙に浮いた。