風に呼び掛けるように呟く。 「家に―― 風よ、私を包み込め――」 そう言った途端私の体はふわっと浮き上がり、立ったまま空に浮いた。 私は、いつもよりも遅く風を動かす。 一応家までの道を覚えるため。 私は真っ暗な夜の中を風にのって歩いた。