華〜ハナ〜Ⅰ【完結】





だいたい塵界の人間を私が知ってる訳がない。


陽の当たるに身を置くなんて、ものごころをついてから初めて。


……そんな私が、ただの人間を知っている訳がない。




「…知らないわね。貴方のことなんて見たことも聞いたこともないわ。」

「へぇ…。君、この辺の子じゃないの?」

「……ええ。」




男はフッと笑った。




「俺の事知らないなんてね。驚いたよ。名前を教えて?俺の名前は新倉嘉‐ニイクラヒロ‐。」

「…栗栖侑希よ。」



ニコニコと笑っている新倉という男。



胡散臭い、しゃくに障るそれ。




「侑希ちゃんか。よろしくね。」




ああ…また。

私をそれはいらつかせる。




「侑希ちゃん?どうかした?」



まさか、私の感情が顔に出たのだろうか。


そんな訳はない…。



そうは思うけれど、私には苛立ちが募った。





「笑いたくないなら笑わないで。見ていて気分が悪いわ。」