『矢耶、お前だけなんだ。だから他のやつとかはない。俺は別れない』

「うん、矢耶も別れたくないよ?」


ほんと、なんなんだ?

突き放したり、引き寄せたり、まじ振り回されてる。


『じゃぁ、一週間は長い。せめて明日だけとかにしてくれ』

「いーやっ」


か、かっ、可愛い!

あー、俺、まじ死んじゃうんじゃね?

生殺しだろ?


『じゃぁ、やらない。けど、それ以外は許してくれ』

『いや、手を繋ぐとか抱きしめるとかキスとか…』

「むりっ」


ぷいと顔を窓側に向けた。


これが制裁なのか…?


「着いたぞー」


気付いたら、もう家の前に着いていた。


「明日の朝、迎えに行くわ」

「心ちゃん、ありがとう」

「あぁ、ゆっくり休めな?んで、明日いろいろ聞かせろよ?」


意味深な発言をして心は帰って行った。

放心状態の俺は車から降りても、未だに動けずにいた。


「藍、鍵」


俺のポケットをゴソゴソ探っている。

いつもなら、矢耶をいじめ様なんて思ったりするけど、そんな場合じゃない。