溺愛キング

慌てて起き上がると


「優乃さん!」


矢耶は優乃さんの後ろに隠れた。

薄着のせいなのか、矢耶の顔は少し青白い。


「矢耶ちゃん…」


困った顔をした優乃さんは矢耶の頭を撫でた。


「いつまで追いかけっこしてるの?矢耶ちゃんは、もう鬼に捕まったのよ?ふふふ、それもたちの悪い鬼にね」

「え?」

「もう、鬼ごっこは終わり。今回は鬼の勝ちね。だって、見つかってしまったでしょう?」

「けど、矢耶は…」

「矢耶ちゃんも、ほんとは会いたかったでしょ?どんなに嫌いになっても、矢耶ちゃんには藍飛が必要でしょ?」

「……………」

「もう、許してあげよ?ね?」


矢耶の瞳にはたくさんの涙がたまっていた。


「矢耶、お前の気持ちも分かる。けど、藍飛もこの寒い中、ずっと探してたんだぞ。俺が言いたいこと、分かるよな?」


類さんは矢耶の背中を撫でながら抱きしめた。


「ひっく………」

「悲しかったんだよな?食べれなくてショックだったんだよな?」

「………っ………」

「まぁ、冷静になって考えてみろよ。たかがプリンで左右されちまう男なんて、藍飛ぐらいしかいねぇよ。な?びっくりだよな?こんなに矢耶のことしか考えてないヤツなんて、藍飛だけだろ?」


類さんの肩に顔をうずくめている矢耶を類さんはなだめる。


「よしよし、気が済むまで泣け。な?今日は特別に類様の肩を貸してやるからな?あー、うん、矢耶、お前はほんとに可愛いな」


ぎゅーっと矢耶を抱きしめる類さんは、子供をあやしている親の様に見えた。