溺愛キング

部屋に入るとすぐにベッドを見つけた。

おそらく、二人の寝室であろう。

二人が使うには大きすぎるキングサイズのベッドに、矢耶は眠っていた。


近づくと穏やかな寝息をたてているが、疲れていて顔色もそんなに良くない。


『矢耶……、無事で良かった』


思わず、安堵のため息がでた。

矢耶の頭を撫でてやると


「ん゙――…」


顔をしかめて、寝返りをうった。

軽く、ショック…

いや、今のでダメージ100はくらった。


その時、後ろから


「矢耶ちゃんね、ずっとうなされてるのよ」

『…………?』

「見つけた時は、体は冷え切ってて、あのまま放っておいたら大変なことになりそうだったのよ」


無意識のうちに握り締めた拳に力が入る。


「ねぇ、矢耶ちゃんが家出なんて初めてでしょ?」


何も言えない俺はただ、黙って拭くしかできなかった。


「何が原因とは聞きたいけど、どうせ藍飛が何かしたとしか考えられないわよね」

『…………、あんなに怒るとは思わなかったんすよ』


やっと喋りだした俺に視線を移した優乃さんは、少し顔をしかめていた。


『ぷ、、、プ、リンを、食ったんです』


重たい雰囲気の中で、俺が発した言葉はあまりにも似つかなくて、たった三文字を言うだけなのにひどく時間が掛かった気がした。