溺愛キング

「道が渋滞してるから着くまで、まだ時間がかかりそうだ」


総長専用の運転手である益田 心―マスダ シン―がバックミラーごしに藍飛を見た。

心はeagleのOBである。

引退したのち、総長専用つまり藍飛専用の運転手になった。

現在二十歳で、近くの証券会社に働き、中学生にも間違われる程、童顔。

ちなみに、心は矢耶のお気に入りで雅司に並ぶくらい、みんなから好かれている。

そんな心に藍飛は密かに敵対心を燃やしている。


『そうか…走った方が早いか?』

「まぁ、そう焦るなって。急いだ所で何も変わらないだろ?落ち着けよ」

『…………』


俺は足を組み替え、外を見つめた。

今更、心配になってきた。

矢耶は俺を許してくれるか?

顔も見たくないとか言われたら、俺は立ち直れないな。

そんなこと思ってたら、車は動きだした。


「なぁ、矢耶ちゃんは藍飛を待ってるよ。お前より何倍も物分かりいいから、心配すんな」

『ふっ、俺を励ましてくれてるのか?』

「さぁな、俺は早く矢耶ちゃんに会いたいだけだ」

『相変わらずだな』


さっきより、気持ちが楽になった気がした。