月夜に舞う





「そうか。だが、私はそなたの巫女としての名前ではなく、そなた自身の名が聞きたい」




「私は、雪羅。雪羅姫」



彼は人ではない。



巫女の秘密をしるものは巫女の一族でも神姫だけ。



彼は、『穢れた神』



「その様子だと私のことに気付いたのだな」



「ええ」



すると彼は自分を自嘲した。




「悲しそうな顔ね。でも、私は穢れているとは思わない」