柳に姓を変え後、幸太郎と早苗の故郷へと引っ越した。

お互いの親も兄弟も友人も居る場所へ。

そして親も兄弟も友人も皆が真由美の事を決して話さなかった。

真由美の家族だと知らない人に知られないように。

そのために姓を変え引っ越したのだから。

「大丈夫、俺もいるよ。
学校のツレには適当に言っておいたから。」

真虎は昼の12時過ぎにも関わらず両親が今からでも学校に行くのは遅くない、と思っている事に少し驚く。
だがすぐに納得する。
いっぱいいっぱいなのだ、と。

「……最後まで…私達は必死に希望にすがりついていた……。

でも………もう……あの子を殺した奴らは……許されるのね…!」

早苗は目に涙をためながら怒鳴る。

「………許さない。
世間が許しても俺は許さない。

姉貴を殺した奴らは、それなりの罰を受けるべきだ。」

その言葉に早苗は少し落ち着きを取り戻す。

「………俺、部屋に居るから」