そして周りの選手がバテ始めた。…だけど東村は違った。
「東村くん…すごいじゃん」
ずっと跳び続けてる。さっきとは違い苦しい表情で。見てる側が見入ってしまうくらいだった。
『ピピー!…やめ!』
終わりの合図が響き渡る。途端に東村は座りこんだ。
「す…すご」
さすがのあたしも、びっくりだった。苦手とか言うわりに、かなり跳んでるから。
「ねぇ衣李、なんか東村くん…別人みたいじゃなかった?それに…カッコよく見えたよっ?」
みちるがあたしを見る。あたしはさぁ、と言って東村に目線をそらした。
すると東村がチラッとあたしを見た。東村の手は、小さくガッツポーズをしていた。
「衣李に『頑張れ!』ってことなんじゃない?次の種目、八の字だからさっ」
つ、ついに来る八の字。あたしは心構えをしていた。


