次の日。
「………」
あたしは教室のドアとにらめっこしていた。ドアの隙間から、机に顔を伏せている東村が見える。
入りたくない入りたくない。この言葉があたしの中を駆け巡る。
だって入ったら、東村と顔を合わせなきゃなんない。昨日のことを1ミリでも思い出すと、平常心を保っていられない。
キスされてショックを受けた気持ちと、東村をひっぱ叩いてしまった後悔もある。
「…ねぇ、教室入んないの?」
「は、入るよっ」
「なんでため息ばっかりしてんだよ」
「実はさ…ってえ!?」
あたしは言葉を言いかけて声の主を見た。見てびっくり。あたしはまさかの東村と会話をしていたのだ。