あたしは立ち止まって、アスファルトを見つめた。



「…バッカみたい」



バカみたい。1人で必死に頑張って、1人でドキドキして。


そりゃ、東村にとって傷だらけになりながら、なわとびしてる奴は面白いのかもしれないよ?


東村が近くにいて、勝手に赤くなってドキドキしている奴を見たら面白いのかもしれないよ?


だけど…あたしはショックだったよ。




『キス』


『…したかったから?』


『お前見てたら面白くて…』




悔しかった。せっかく100回跳べたと思ったのに。…東村と近づけたかなって思ったのに。


…ダメじゃん、全然ダメじゃん。


あたしなんて、小さくて面白い遊び道具程度なんだよ。うん、そうなんだよ。


あたしは夕焼けに染まる空を見上げて、光を溢したのだった。