「あれれ?ひょっとして興味ない?」

「あーもー!!少し黙っとれアホ定!うちは今伊東なんかより人参のが大事やねん!それとも何か!?あんたが切ってくれるんか!!?」

右手に持った包丁を激しく振り、楓は有定に怒りをぶつける。だが、そんなことくらいで怯む最強の同期ではない。

「嫌だよ。だって赤城竈任せたら任せたで全部焦がしちゃうじゃない?わざわざ簡単な仕事だけ残してあげたんだから感謝してよ」

と、苛立つ楓に対し平然と言ってのけたのだ。


「……」


毅然とした態度の有定に楓は黙りこむしかできなかった。


結局、この日の朝食は楓の不器用さのおかげで時間ぎりぎりにできあがったのであった。