幕末異聞ー参ー



「龍馬!あんな確証もない約束をして一体どういうつもりじゃ!?」




桂と別れた坂本と中岡は浜辺に座っていた。



「これで交渉が失敗したら今度こそわしらの計画は水の泡ぜよ!」



中岡は背中を丸めて砂いじりをする。




「慎太郎。わしは新しい組織を結成しようと思うんじゃ」




「…何じゃと?」



「薩摩藩の後ろ楯を得て商いをする貿易組織、名付けて“亀山社中”を結成するぜよ!そうして薩摩と長州の架け橋になって物資の運搬をするんじゃ!!」




「…」



絶句。

中岡はこの場面でもまだ夢物語のようなことを言う坂本にげんなりとした。



「龍馬…。もう勘弁してくれ。おまんの戯れ言に付き合ってる暇はもう「戯れ言じゃないき!」



坂本は中岡に砂を投げつける。



「いっ…!なにするがじゃ」



「わしらならできる!絶対じゃ!!」



砂が入り目が開けられない中岡は暗闇の中で力強い言葉が耳に入ってきた。



「薩長同盟は必ず成功させるぜよ!」



やっと目が開けられるようになった中岡の前には、夕日を背負った坂本の姿があった。




「…薩長同盟」




駄目だ駄目だと言葉でいってるだけでは何も始まらない。かっこ悪くてもいいから必死にもがけ。

坂本の立ち姿は無言で中岡にそう告げていた。