「そう。総司ならもう気がついてると思うけど、私は芹沢局長暗殺以来人を斬るのが怖くなってしまった」
「…」
「そんな時に赤城君が斬れなくてもいい。大事なのは自分の意志を貫き通すことだって言ってくれたんだ」
「楓が…」
「だから私は刀が握れなくても自分の信念だけは貫こうと決めたんだ。でも…」
「でも?」
「伊東さんが入隊し、屯所を西本願寺に移転するという話になったとき、もう私はここにはいらないんじゃないかと感じたんだ」
――誰も耳を貸してくれない
――誰にも必要とされていない
「そんな!そんなこと!!」
「だからこれが最後の抵抗だったんだ」
「…」
「私という人間がいて、屯所の西本願寺移転に命を懸けて抗ったという」
――これが私の武士道だ
「…山南さん」
いつの間にか空は暗くなっていた。
だが地上は提灯の明かりできらきらと輝いている。
いよいよ京都が近づいていることを知らせていた。

