「早く食べないと折角のお汁粉が冷めてしまうよ?」
「…」
「甘いものは総司の大好物だろ」
「……何故ですか」
「?」
「何故本気で逃げなかったんですか?!何故本気でもないのにあんな手紙残して脱走なんてしたんですか!?何故…」
沖田の汁粉の椀を持つ手が震え、今にも中味が溢れそうになる。
「そんなことして、結末がどうなるかなんて貴方が一番よく知っているはずなのに!なんで…なんでだよ!!?」
急に怒鳴り始めた沖田にお茶屋にいた客が恐怖の目を向ける。
「総司。場所を変えよう。きっと君は私を連れて帰るように命令されてきたんだろう?この続きは屯所に帰る道すがら話そう」
山南は完全に周囲が見えなくなっている沖田を手で制し、一旦落ち着かせお茶屋を出た。
「私はね、自分を貫きたかったんだ」
「自分を・・・貫く?」
大津を離れて暫く、二人は馬を引きながら京都方面にゆっくりと歩を進めていた。

