「では、行ってきます」
「気をつけるんだぞ」
簡潔な挨拶を近藤とすませた沖田は馬に跨がり雪の中を颯爽と駆けていった。
「…歳、何も言ってやらなくてよかったのか?」
近藤は沖田が見えなくなると隣でずっと仏頂面でいる土方を心配するように横目で見る。
「もう子供じゃねーんだ。俺が何か言ってやることなんてねーよ」
土方は不機嫌そうに言うと踵を返して屯所内に戻って行った。
「自分を責めるな」
「!!」
一人自室の廊下を進む土方を追う声が彼を動揺させた。
「お前のせいじゃない。俺だって…俺だってもっと「違う!!」
小さくなっていく声を振り向き様に遮ると土方の顔は苦痛に歪んでいた。
「勝っちゃんのせいじゃねぇ!苦しんでた山南さんを知りながら、言いたいことがあっても俺が遮って言えないのを知りながらここまで追い詰めた俺が悪いんだ…俺が…俺が!!」
――ガンッ
言葉で言い表せない怒りや無念さを拳に込めて土方は壁を力の限り殴り付ける。
「歳。それは違う。いや、それは…山南が帰ってこなければわからない。今は彼が無事に戻ってくるのを待とう」
「…ああ」
そう、真意など山南にしかわからない。
ここで憶測ばかり立てて自分に腹を立てても仕方ない。
土方は近藤の肩を叩き言葉には出さないがありがとうという気持ちだった。

