「総司」
部屋で出発の準備をしている沖田の風呂敷に向けて数個の薬包紙が投げられた。
「山崎から薬」
背後から薬を投げたのは楓。山崎に頼まれて渋々承諾したらしい。
「ありがとうございます」
振り返りもせずただ黙々と荷物をまとめる沖田は明らかに何か迷っているようだった。
「……楓」
「?」
帰ろうとした楓に小さな声が届いた。
「私は、山南さんも新撰組も大好きなんですよ」
「…うん」
「もし見つけちゃったら…私はどうするのか正直わかりません」
「自分と戦え」
「…え?」
「一緒に戻って来るか見て見ぬふりして逃がすか。自分と戦って決めろ。
山南総長に会えるのはあんたしかおらん」
それだけ言うと楓は沖田の顔を見ることもなくさっさと自分の部屋に戻っていった。
「戦う…私しか会えない」
楓の言葉を反復すると、沖田は何かを吹っ切ったように風呂敷を結び、部屋を出ていった。

