「少し長い任務で遠くに行かなくちゃいけないんだ」
「…いつ…戻って気はるん?」
ぽろぽろと大きな黒い瞳から溢れる涙をそのままに明里は山南の頬を細い手で包む。
「それはわからない。今回は難しい任務なんだ」
「…」
明里は絶望したように黙り混んでしまった。
「明里」
そんな拗ねているようにも見える明里に優しく微笑んで、山南は明里を優しく抱きしめた。
「私がいない間、これで遊びなさい。いいえは許さないよ」
と言って山南が懐から出したのは三十両の金子だった。現在の価値に換算すると約六百万円である。
「こ…こんなもの受けとれまへん!!」
畳に置かれた小判の山に明里の涙はようやく止まった。
「ははは。やっと泣き止んでくれた」
最早明里には山南が何を考えているのかわからない。
「いいね明里。これで君の思う通りに、好きなように遊ぶんだ。いいね?」
今度は気迫溢れる山南の態度に気圧されて明里はただの一言、「はい」と言うしかなかった。

