――自分の道を貫いてみればいい
君の言葉は今の私を試しているのかな。
京都に来てから数年、最初は勤王攘夷だったはずの私たちもいつの間にか幕府に使えるようになり、ただの浪士だった私たちは新撰組という立派な名前までもらった。
いつからだろう?
自分が彼らから少し距離があると感じたのは…
いつからだろう?
自分がここにいずらくなったのは…
勤王の思想を捨てられないから?
理論的にしかものを考えられないから?
いや…違う。
結局怖いからだ。
人を殺すのが…
血を見るのが怖くて逃げてばかりだからだ。
“自分の道を貫いてみればいい”
きっと君の言葉の中にはそういう意味も込められていたに違いない。
「また難しいこと考えとんなぁ」
呆れた君の声が聞こえたような気がした。
「…君の言うような人間に…なりたかったなぁ」
山南は行灯も点けない部屋で一人机に座りふふふと静かに笑った。